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佐賀地方裁判所 昭和41年(わ)83号 判決 1968年2月29日

本店所在地

佐賀市水ヶ江二丁目一五番七号

商号

株式会社 中野建設

代表取締役

中野良次

本籍

佐賀市紺屋町一六一番地

住居

佐賀市巨勢町字牛島一〇四番地の二

会社役員

中野良次

大正三年三月二九日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について当裁判所は検察官清水博出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社中野建設を罰金三〇〇万円に、

被告人中野良次を懲役八月に

各処する。

被告人中野良次に対してはこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社中野建設(変更―昭和四三年二月一日―前の商号株式会社中野組、以下被告人会社と略称)は佐賀市水ヶ江二丁目一五番七号に本店を置いて建設業を営むもの、被告人中野良次は被告人会社の代表取締役としてその業務一切を総括処理しているものであるが、被告人中野良次は被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一、被告人会社の昭和三七年五月一日から昭和三八年四月三〇日までの事業年度における所得金額は別表一の(一)記載のとおり一三、七二三、〇七三円であり、これに対する法人税額は別表二の(一)記載のとおり五、〇五二、二一〇円であったにも拘らず、被告人会社の材料費等を架空に計上する等の不正の方法によってその所得の一部を秘匿した上、昭和三八年七月一日佐賀市赤松町所在の佐賀税務署において、同税務署長に対し被告人会社の右事業年度における所得金額は四、一三四、四一五円であり、これに対する法人税額は一、四〇八、五四〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により正当法人税額と申告法人税額との差額である法人税三、六四三、六七〇円を免れ、

第二、被告人会社の昭和三八年五月一日から昭和三九年四月三〇日までの事業年度における所得金額は別表一の(二)記載のとおり二一、八九七、四四〇円であり、これに対する法人税額は別表二の(二)記載のとおり八、一三八、五九〇円であったにも拘らず前記同様の不正の方法によってその所得の一部を秘匿した上、昭和三九年六月二九日前記佐賀税務署において、同税務署長に対し、被告人会社の右事業年度における所得金額は五、二〇五、七一三円であり、これに対する法人税額は一、七九五、七四〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって不正の行為により、正当法人税額と申告法人税額との差額である法人税六、三四二、八五〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、被告人中野良次の当公判廷における供述並びに第一回公判調書中の同被告人の供述記載

一、被告人中野良次の検察官に対する供述調書二通

一、被告人中野良次の大蔵事務官に対する供述調書(質問てん末書)一一通

一、証人角田虎雄の当公判廷における供述記載

一、証人早田正義の第二、第三、第五回各公判調書中の各供述記載

一、証人藤島ツヤの第四、第五回各公判調書中の各供述記載

一、角田虎男(一通)、早田正義(二通)、藤島ツヤ(一通)の検察官に対する各供述調書

一、角田虎雄(二通)、早田正義(七通)、藤島ツヤ(二通)、杉町敏郎(一通)、中野秋夫(一通)の大蔵事務官に対する各供述調書(質問てん末書)

一、早田正義作成の上申書五通(昭和四〇年三月二〇日付、同年四月九日付、同年九月二一日付、同年五月二八日付、同年七月二日付)

一、藤島ツヤ作成の上申書二通

一、佐賀税務署長作成の法人税決議書の写

一、被告人会社の登記簿謄本

一、日本勧業銀行佐賀支店長、佐賀銀行取締役営業部長、親和銀行佐賀支店長、佐賀銀行神野町支店長、同松原支店長、同神埼支店長、同諸富支店長、同白石支店長、同博多支店長、同箱崎支店長、同白山支店長、同長崎支店長、同水ヶ江支店長、同県庁支店長、同大川支店長、同与賀町支店長、同久留米支店長、同呉服町支店長作成の証明書各一通(佐賀銀行水ヶ江支店長作成の証明書のみは四通)

一、押収してある丸中木材市場の木材検収票売上計算書一冊(昭和四一年押第七九号の八)、同前払金補助簿売方出荷五冊(同号の四一ないし四五)、同買方帳一冊(同号の四八)、同判取帳二冊(同号の五七、六九)、同落札通知書入札票一冊(同号の七一)

判示第一の事実につき

一、被告人中野良次作成の法人税額の確定申告書及び上申書(何れも自昭和三七年五月一日至昭和三八年四月三〇日)

一、早田正義作成の上申書(昭和四〇年二月四日付)

一、押収してある被告人会社の総勘定元帳一冊(昭和四一年押第七九号の一)、同金銭出納帳一冊(同号の三)、同銀行勘定帳一冊(同号の五)、丸中木材市場の木材検収票売上計算書一冊(同号の七)、被告人会社の買上計算書一一冊(同号の一六ないし二六)、丸中木材市場の前払金補助簿売方出荷五冊(同号の三六ないし四〇)、同買方帳一冊(同号の四七)、同判取帳七冊(同号の五六、五八、六四、六六、六七、六八、七〇)、被告人会社の会計伝票五冊(同号の七二ないし七六)、同領収書綴七冊(同号の八八ないし九三、一〇五)、同角材板材受払簿一冊(同号の一一一)、同受払簿一冊(同号の一一二)、同出入帳一冊(同号の一一三)、同払出伝票五五綴(同号の一五〇ないし二四〇)

判示第二の事実につき

一、被告人中野良次作成の法人税額の確定申告書及び上申書(何れも自昭和三八年五月一日至昭和三九年四月三〇日)

一、石井淳平、坂井猪一、江三善の大蔵事務官に対する各供述調書(質問てん末書)

一、早田正義作成の上申書二通(昭和四〇年六月七日付、同年三月一九日付)

一、石井淳平作成の上申書

一、押収してある被告人会社の総勘定元帳一冊(昭和四一年押第七九号の二)、同金銭出納帳一冊(同号の四)、同銀行勘定帳一冊(同号の六)、同買上計算書九冊(同号の二七ないし三五)、丸中木材市場の買方帳一冊(同号の四九)、同判取帳九冊(同号の五二ないし五五、五九ないし六三)、被告人会社の会計伝票一一冊(同号の七七ないし八七、同領収書綴一二冊(同号の九四ないし一〇六)、同請求書綴一冊(同号の一〇七)、同請求書控三冊(同号の一〇八ないし一一〇)、同払出伝票四三綴(同号の二〇五ないし二四七)

(法令の適用)

被告人中野良次の判示各所為はそれぞれ昭和四〇年法律第三四号附則第二条により適用される同号による改正前の法人税法第四八条第一項、第二一条第一項に該当するので所定刑中それぞれ懲役刑を選択し、右は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で、被告人会社に対してはその代表者である被告人中野良次が被告人会社の業務に関し、判示第一、第二の各行為をなしたものであるからそれぞれ前記法人税法第五一条に従い、それぞれ同法第四八条第一項、第二一条第一項を適用して同条所定の罰金刑を科すべく右は刑法第四五条前段の併合罪であるから同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で量刑につき考えるに、被告人会社は被告人中野良次の個人企業的色彩の濃い会社であり、佐賀県内屈指の建設業を営む会社であって、脱税を図らなければ行詰るような脆弱な経営基盤であったと同情されるような事情は全くないのに拘らず、被告人中野良次個人経営にかかわる丸中木材市場、南佐賀自動車学校の経営に資するため約一、〇〇〇万円にのぼる脱税をなした本件にあっては、他の善良な納税者との均衡を考えるまでもなく、その責任はきびしく追求されなければならず、他面、被告人中野良次は本件犯行後改悛の情顕著で全面的に自白しており、犯則所得額約二、六二八万円に近い約二、五〇七万円の重加算税等を国、地方公共団体に納付しているなど諸般の情状により被告人会社を罰金三〇〇万円に、被告人中野良次を懲役八月にそれぞれ処することとし、被告人中野良次に対しては同法第二五条第一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右の懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 岩村溜 裁判官 川崎貞夫 裁判官 塚田武司)

別表一の(一)

損益計算書

株式会社中野建設(中野組)

自昭和37年5月1日

至昭和38年4月30日

<省略>

<省略>

(註) 犯則金額欄中マイナス印は犯則益金、プラス印は犯則損金を示す。

犯則益金額から犯則損金額を差引いたものが当該事業年度における犯則所得金額となる。

別表一の(二)

損益計算書

株式会社中野建設(中野組)

自昭和38年5月1日

至昭和39年4月30日

<省略>

<省略>

別表二の(一)

法人税額算出表

自昭和37年5月1日

至昭和38年4月30日

<省略>

(註) 課税標準を計算する場合100円未満の端数金額はその全額を切り捨てる。

税の確定金額に10円未満の端数金額があるときはその全額を切り捨てる。

(国税通則法第90条第91条)

別表二の(二)

法人税額算出表

自昭和38年5月1日

至昭和39年4月30日

<省略>

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